おとこごころ 果穂は変な女だった。 まったくもって捕らえ所の無い、自分を主張するってことがない。こいつ、頭が悪いんじゃないか?って思いたくなる様な、そんな女だった。 コンサート会場の受付で俺は、その女とペアを組まされ、きょうの歌い手の色紙やグッズの販売を任されてる。 「このマグカップ下さい」 客が彼女に声を掛ける。 「あっ、ん〜と、五百円かな〜」 なんて、まの抜けた返事だ。 もっとハキハキと、感情をこめた喋り方が出来ないんだろうか? でも、顔は悪くないんだよなぁー、こういう奴に限って…。 華奢で眼が大きくて、整った顔付き、肌が綺麗なのか化粧が映える。 (たぶんこういうのに大体の男は、コロッと参っちゃうんだろうなぁ)って思う。 やがてコンサートが始まり、受付も暇になった頃、俺は、 「コーヒー買ってくるけど、飲むかい?」 と、聞いてみた。 「はぁーい、ごちそう様ですぅ、嬉しぃ!」 …って、おいおい、鼻っから飲み食いは、必ず男が奢ってくれもんだ。と決めてるような言い方だ。 「あっ!私は、カフェオレがいいなぁ」 そう、可愛い顔でニコニコされると悪くない気がする。 しかし、販売機の前に立った俺は、(あいつ、あの笑顔で何人の男を手玉にしてきやがったんだよ!)と、我に帰り少しムカつく。 カフェオレの入った紙コップを渡す。 「わぁー!有難うございますぅ」 なんて、眼をキラキラさせて、フゥーフゥーと、息を吹き掛ける、彼女の赤い口紅に視線が奪われる。 [‥ 読む ‥] [ページ指定] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
[編集] 無料ホームページ作成は@peps! |