艾ォ意無きイタズラ
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ゆっくりと部屋のドアが開く…

それにすら気づかない平次は未だ和葉にみとれている…

「ふふっ」

入ってきた人物、静華はそんな息子を見るなりイタズラっぽく笑う。

「な!?んやねん…」

慌てて振り返り心臓は余裕なく高鳴っている…

「まぁたアンタ、和葉ちゃんにみとれてしもて」

「アホッ///そんなんちゃうわ///」

大否定を返すが静華はさほど気にせず平次に言う

「そろそろ約束の時間やから赤ちゃん返しに行こ思て」

「…ぁ、ああ、やっとか…早よ連れてってくれや」

しっしと追い払うようなしぐさを見せた平次

静華は「あらあら」と優しい口調で和葉の指を握る赤ん坊の手をゆっくり離し、赤ん坊を抱き、

「ほんなら和葉ちゃんにお礼言うといてな。」

と部屋を出ていこうとするので、

「何でや、起こしたらええやん?」

「そんなん可愛え息子に悪いやろ?」

とまたも笑いながら部屋をあとにした。

「くっ///」

母の悪意ありイタズラだ…



「何やねん…//」

それでも再び和葉に視線を移す平次がいる…

そして、

「おまえが悪い。」

と一言言い、ベッドに両手をついて起き上がり、和葉の顔を上から見下ろす…

今、この服部平次の頭は良からぬことを考えている…

が、それも一瞬で自分に報いがやってきた…

「なっ///」

和葉が眠ったまま平次の首に腕を回した…

徐々に和葉の腕に引き寄されていることにも気づく…

「…くっ……///」

必死に腕で体を支える…

さっきまで自分からその気だったはずなのだがこの状況で和葉に起きられでもしたらと、そちらの方がヤバいと感じて無理に抵抗できずに動きがとれない…

“アカン、アカンて…”

一人顔が、いやもう耳まで真っ赤な平次がいる

“くそっ…オレ悪ないけど…ぁ、でも…”

確かにこの状況に陥ったのは和葉のせいだ

しかし、その前に行動しようと和葉に近づいたのは自分だ

と、平次の頭はフリーズしかけている…

“せやけどここで起きられたらオレに非があらへんでも…ややこしいことになる…けど…”

目の前にある和葉の寝顔を見てしまうとどうにも思考が停止する…

「…へぃ…じ……」

追い打ちに和葉の口から自分の名前が呼ばれる…

「〜〜〜〜/////」

“もうアカン…”

支えていた自分の腕のチカラを抜こうとした瞬間だった、和葉の次の一言が発せられたのは…

「…あほやわ〜」

寝顔まで笑い、そう言い放って平次に回していた和葉の腕のチカラが緩み、平次から離れた

「……何やねん…」

疲れきったように和葉から離れてどっと座る…

一瞬でも夢見た自分がアホらしくなったのだ…

それでも胸の鼓動は早いままだ…



〜END〜



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