呆気なさ
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「なんやねん、やきもちかぁ?」

ニヤリと笑うと平次が聞いた

「あほ!誰がやきもちなん//」

「ホンマにぃ?」

「しつこいで!早よ行ってしもたらええやん!」

「素直やないなぁ和葉は。」

平次が誘われたんは紛れもないデート。

おんなじクラスの女の子。

平次のことが大好きやってアタシにも言うとった…

「早よ行きぃよ…」

平次もそれをOKしたゆうことはそぉゆうことやん…

「ほな行くで?」

「あっ…」

出掛けようとする平次に思わず声が出る…

行かんといて…心の中ではそう何度も言うた。

「行かんといて言うたら行かへんで?」

ニヤニヤまたアタシのことからかっとる…

絶体に言わへん。

そう決めたんやけど…

「…行かん…といて…」

小さくアタシは言うた。

「なんで?」

「えっ?」

平次の「なんで」はアタシを困らす…

「えっと…それは…そやから…あの…」

答えられへんアタシを平次は面白そうに見とる

「なんで?」

イタズラな顔はアタシをジッと見る…

「…すき…」

聞こえへんぐらい小さな声が出た…

「なんやて?」

「…好きやからや!平次のこと!そんな他の女の子と楽しくデートなん…いやや//」

「っ…//」

自分から言わせといてびっくりしとる平次は心なしか赤くなっとる…

アタシは気のせいでもなんでもないくらいきっと真っ赤な顔しとる…

「…平次のことが好き…なんやて。めっちゃ…//」

これでもかっちゅうぐらい正直になってみる…

今までずっと黙っとったことを全部言うてみる…

絶体平次はアタシの気持ち気ぃついとって遊んどったクセに…

「おまえ、それ本気で言うとるんか?」

なんて聞いてきた…

「本気やもん。平次はその子のこと好きなんやろけど…」

「…べつに…そんなことあらへんけど…」

「ほんま?」

ちょっぴり嬉しなって平次を見る

「ん、あぁ…」

「せやったら行かんといてくれるん?」

「…ん、あー和葉が暇つぶししてくれるんやったらな…」

「アタシでええん?」

「まぁ我慢しといたる。」

あ、照れとる…

もしかしたら平次は…

なんて期待がアタシの胸に膨らむ…

「なんやの…アタシは告白したんやから…その…平次の答えとかはないん?」

緊張して聞いた…

ドキドキ胸が痛くなる…

「…答えっちゅうてもやなぁ…」

「…」

「好きやで。オレも。せやから出掛けよ言うてんねん」

「へ?」

「あん?おまえもどっか行きたかったんちゃうんかいな?」

「え、あっ…うん…υ」

なんやろ…

この呆気ない感じは…

アタシと平次の間にまだ叩けば割れそうな薄い壁があるような…

せやけどその薄っぺらい壁さえもアタシには壊す勇気はあらへんかった。

「どこ連れてってくれるん?」

ニコッと笑ってアタシはいつもみたいに平次についていくだけ。

そんな関係でもアタシは満足やねん。



END.



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