交換かき氷
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「ん。」

「えっ……?」

和葉の目の前に差し出されたスプーンに乗ったかき氷…

緑のシロップがかかったメロン味

「はよ食え、溶けてまうやろ?」

「えっ…せやけど…」

「何やねん…食いたいんちゃうんか?」

今年の夏祭りは例年に増して賑やか

平次と和葉も当たり前のようにその人混みの中にいた

「食わへんのか?」

「……平次…せやけどそれって…」

「あん?」

「さっきまで平次が食べてたやつやん…」

ぴんっと伸びた綺麗な人差し指がそれを指す

「せやから何やねんて…」

「……」

全くそういう意識のない平次にがっくりくる和葉…

「たくっ…」

意味が解らずに平次はパクッと差し出していたかき氷を食べる

「…平次は鈍感過ぎや…」

「なっ…急に何やねん// ケンカ売っとんのか!」

「…ほな平次、ん。」

「えっ……?」

先ほどの和葉同様に固まる平次…

無防備に差し出されたスプーンに乗ったかき氷…

赤いシロップがかかったイチゴ味

「…はよ食べて。」

「…オレ、別に食いたいなんて…」

「解ったやろ…//」

ちょっと照れたようにに和葉はそのかき氷をパクッと食べる

「……」

平次は言葉がでない

解ったから…

「和葉…」

「なに?」

今度はきょとんとして平次を見る

「…間接が嫌やったら直接…」

「なっ/// なに言うてんの!!」

真っ赤になって抗議する和葉

「…冗談やて…」

本当に冗談で言ったのだが、こうもあからさまに真っ赤になられると…

「顔真っ赤やぞ?」

からかいたくなる…

「……」

「あん?」

てっきり言い返してくると思っていた平次は不思議に和葉を見る

「もぉ//何でもあらへんから見んといてッ//」

ぷいっと平次から目を反らす

「そこまで照れんかて冗談やろ…」

「……平次はそぉでも…」

ぽつりと呟いた和葉の小さな声…

「・・・・・・・ぇ?」

賑やかな祭りの中でも平次には聞こえる

「……」

「……」

しばらく無言の空気が流れる…

「…オレはそぉでも……なんや?」

「……別に…」

聞こえていたことに急に恥ずかしくなる

「和葉は…オレのこと好きなん?」

「ぇっ……」

明らかな反応を見せた…

「…はよ言うたらええんに…」

ぼそっと言うと同時に和葉の手を握り、走り出す…

「ちょッ//」

人混みかき分けて静かな場所に出る…

「…平次?」

「…アホ…」

「なッ//……え?」

赤い顔して言ったのが解った…

「オレもお前もアホや…」

「……はい?」

意味が解らずムッとして聞き返す

「せやから//」

ばっと和葉を自分の方へ引き寄せ、抱きしめる

「なッ///…ちょ…平次//」

胸のドキドキする鼓動が止まない…

「なあ…オレのこと好きか?」

「…アホ…離して///」

「答えたら離す…」

いじわるな声で耳元で囁かれて真っ赤になるのが自分でも解る…

「……アホ…」

ぽつりと呟いたと同時に、

「好きや。」

平次が言う…

ばっと距離とってキス…

「…ん!?……」

びっくりなんて…

恥ずかしさなんて…

すぐに平次が消してくれるような優しくて温かいキス…

「…アホ。」

離れると和葉はまた言う…

「なんやって?」

いたずらに聞き返す

「……好きや…アタシ、平次のこと//」

真っ赤な顔に大声で言われれば平次も真っ赤

「…ほな交換。」

「へ?」

差し出されたかき氷…

まだ半分以上残っているかき氷…

「…ぅん…」

和葉もすっと自分の持つかき氷を平次に差し出す

緑のかき氷と赤いかき氷が交換された…

「オレ、ほんまは食いたかってんw」

「アタシも。」

ニコッと互いに笑ってさっきまでとは違う色を食べる。



〜END〜



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