秋の夜長と長電話[平次視点]
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オレは…

ずっと好きやってん…

小さい頃から…

ずっとずっと見てきた…

幼なじみやったから?

ずっと一緒におったから?

そんなんちゃうねん

和葉やから好きになったんや。

好きて気ぃつくんが遅かった…

ほんまは“好き”なんて言葉に収まらへんぐらいに溢れとるんや…

オレのこの気持ちは…

和葉に伝えられたらどんだけ楽なんやろ?

せやけどこの想いを口にした途端今のこの関係が崩れてまいそうで…



「怖い…」



オレらしないんは重々承知…

今のこの関係がオレは好きやから。

伝わらへん想いをこんままオレの胸にしまいこんどこ思てたんに…

なんであないこと言うてしもたんやろ…

そのことがずっと頭から離れへんで眠られへん…

今は日付の切り替わる0時を回った…

ずっと考えとる…



「和葉はどぉ思たんやろ?」










それは学校の授業が終わって、部活も終わって、いつも通り一緒に帰って、いつも通りのとこで別れて…

それぞれ家に帰った…

そして夕飯済まして部屋で寛いどる時や…

実際には全く寛いどるっちゅう感じやなくてオレは色々考えとった…

そんでその結果、和葉の携帯電話を呼び出した…

和葉はすぐに電話に出た



『平次?』

「あーすまんな急に…」

いつものオレらしないことに多分アイツは気ぃついた…

せやから

『何か急用なん?』

て聞いてきたんや…

「ああ…そぉやないんやけど…その…直接言うんもアレやったから…」

『……何なん?』

歯切れ悪くオレはそんなん言うからよっぽどのことなんかなとか思たらしく和葉も真剣に聞き返してきよった…

「…オレが何言うてもオレらの関係壊れへんよな?」

『は?』

意味解らへん…みたいな声や

「…和葉?」

しばらく黙ってもぉとる和葉にオレは恐る恐る名前を呼ぶ…

せやけど和葉はまだだんまりや…

何考えとんねん…

なんや…

その沈黙はyesなんかnoなんかはっきりせぇや!

そぉ口にする直前やった…

『平次、なんやアタシに不満でもあるん?』

「は?」

和葉が意味解らへんこと口にしたんは…

不満て…なんやねん…υ

お前に不満なん…

『あれ?ちゃうん?』

「ちゃうちゃう// あほかそんなんやったら直接言うたるわい!」

何を勘違いしとるんやこのアホは…

『……』

あん?

まただんまりかいな…υ

「おい聞いとるんか和葉?」

『ぁ、ぅん…。そんで何なん言いたいことて…』

「あー そやから…オレが今から言うこと変思たら忘れてや…」

もぉ充分変かもしれんわ…

なんて思たけど分かったて返事した和葉にオレはほんのちょっと安心した

『……』

「……えっと…和葉…オレ、その…」

せやけど…

やっぱしもぉひとおし必要やわ…

『もぉ何なんはっきり言うてや!そんな今さら平次に何言われても平気やから!!』

ほんまに言いにくそうにしとるオレに思い切ったように和葉は言うた

「…いや、それはそれで嫌やな…υ」

なんてボソッと言うてしもた

『え?』

それこそ意味解らへん…てか?

けどなんや…

いけそうやわ…

「…や、そのな……オレ、お前のこと好きや。…そんだけや、ほなな…」

『……』

そんだけ言うて電話を切ってしもた…

大丈夫やろか…

ちゃんと伝わったんか…?

なんやろ…

夢やないよな?

好きや…て言うてしもたわ……

切れた電話をただただ見つめることしかできひんかった…










そんで今や…

秋の夜長…

虫の音も止んで静かな夜…

どんなに目を閉じても和葉のあの沈黙が気になってまう…

気になって、

気になって、

せやからずっと考えとったらいつの間にやら和葉ん家の前や…

ほんまここまで来るとオレ、重症やなって気ぃつく…

ふと和葉の部屋の窓を見上げるとまだ電気はついとる…

それを見て少し期待してまう

そしたらそっと窓が開いて和葉が真剣な表情で月を眺めた…

なんやろ…

今までに見たことない顔やった…

「……たんやろか…」

何を言うたんかよぉ解らへんかったけど和葉がなんや言うた…

次の言葉ははっきりと聞こえた…

「…平次…アタシは…」

……

なんやろ…

やっぱアカンのかな…

オレらは今まで通りがええんかな…

和葉の口から出たオレの名前…

アカンわ…

そぉ思てポケットから携帯電話を取り出した…



“♪♪♪”



すぐに和葉が携帯電話を手にしてるんが見える…

ずっと手に持っとったことが解る

その画面を見て…

「…平次…」

またオレの名を呼ぶ…

こんまま出えへんかったらどないしよ…なんて頭によぎったけど、

和葉はほんのちょっと戸惑っただけでゆっくりと電話に出た…

『…平次?』

「ぁ、まだ起きとったん?」

『…ぅん…』

「…そぉか……あんな和葉、さっきのアレやけど…」

自分で言うたその言葉にドキッとした…

そんで…

「…オレ、どぉかしてたわ…」

『ぇ…?』

「せやからオレらは今まで通りでええよな?」

て言うた…

アカン思たんや…

せやけど和葉は話を続けた…

『…平次、アタシな…』

「ん?」

『アタシも…おんなじやってん…』

「…て何が?」

『今のこの関係が壊れてまうんが…』

なんや…?

それて…

『……おまえも…オレのこと好きやったん…か?』

ポカンとしてしもた…

やってそぉゆうことやろ?

『…そぉや…ずっと好き。平次のこと…』

さらに核心をつくその言葉を窓の外の満月に向かってはっきりと言うた…

電話ごしにと…

直接その和葉の想いが聞こえた…

「……ほんまか?」

思わず固まってしもた…

『…ぅん…。ほんまのほんま。』

「・・・・・なんや…オレらあほみたいやん…」

『ぅん…そやね…』

ほんまに…

なんも怖がることなんあらへんかったんや…

和葉とおんなじように満月を見上げた…

オレらおんなじ気持ちやったんやて…

「今から行ってもええ?」

『へ?』

行くて…ゆうか来てるんやけどな…

『ここに?』

「ああ…。今、お前ん家の前におんねん…」

ばっと玄関前におるオレを見た…

『平次……いつからおったん?』

「お前が窓開けた時からおったで。」

この距離…やけどわざわざ電話でそんなんを言うた

『なんで声かけてくれへんの//』

なんや和葉はそぉ言うてオレに背を向けた…

オレも急に恥ずかしなっておんなじように和葉に背を向けた…

「…なんや声かけるんが……怖かった…のかもな…」

『ぇ?』

小さくそぉ言うた…

「なあ…行ってもええか?」

『ぇっ……ぅん…ええよ。』

和葉も小さな声で返事したんを聞いてゆっくりと和葉の部屋の下まで来た

そんで軽くジャンプしてその窓に手をかけて上がった…

「…大丈夫?」

「楽勝や。」

和葉が心配そうに言うたけど、靴脱いで部屋に上がり込んだ…





なんでか和葉は正座や…

オレはそんな和葉をジッと見とったんやけど…

急におかしなって笑い出してしもた

「なんでそんな固いねん(笑) ええやんオレらはオレらで。」

「えっ?」

「ちょっと好きが通じただけや。もともと好きやったんやから一緒におったんやろ?」

そぉなんやけど…

ずっと思とったことが通じたんや…

ほんまはオレかて普通にしろって言う方が無理やねん…

「アタシは…そな…平次みたいに普通にしてられへんょ…//」

最後の方は声になってへんかった…

「……まあ、オレもさすがに無理や…」

「平次?」

「オレに余裕あるように見えんの……これ結構必死なんやで…//」

頭に手をやってからふっと和葉から顔を反らした…

なんや言うてから照れくさなったんや…

そしたら和葉は笑てオレを見た

「…あほ…笑うな//」

「平次、アタシ今めっちゃ幸せやわw」

そんなん…

「…オレも…」

ボソッと言うたんやけどばっと和葉を引き寄せて抱きしめた…

あかん…

ほんま幸せすぎや…

和葉のトクトクいう心臓の音がばっちり聞こえる…

「…平次…めっちゃ好き。」

「…オレの方がもっと好きやでw?」

直接言うんはこれがほんまの初めて。

ギュッとしたった…//

「アタシの方がもっともっとやw」

なんや嬉しそうにそんなん言いよるから、

「そぉか?オレ、幸せもんやな〜」

なんて言うたった…

そのすぐあと…

一瞬や…

「ッ///」

キスされた…

初めて…

しかも和葉から…

優しくてあったかい…

気持ちええ…

「…ごめん…つい…///」

離れてからめっちゃ恥ずかしそうに和葉は謝った

「…別に謝らんでも……オレからもしてもええ?」

オレも焦ったけどやっぱりしたいねん…

「えッ//」

「ええ?」

「ぅん…」

そっと和葉にキスした…

オレからしたこのキス…

さっきのオレみたいに感じてくれたんかな…?



〜END〜



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