ひな祭り
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「ちょっ平次!」

「なんやねんさっきから!」

「せやから並べ方が違う言うとるんよ!」

「あーもぉやいやいうるさい!ほんなら自分一人で並べたらええやろ!」

真っ赤な雛壇に座りこみその両手には右大臣と左大臣…

「勝手にアタシのひなあられ食べたんやから手伝うてくれなおばちゃんに言いつけるで!!」



今日は3月3日、桃の節句。

女の子の日。

遠山家の朝。

そこへ遊びに来た平次。

それは毎年の決まり事のようになっている。



「しつこいやっちゃなー手伝うたらええんやろ手伝うたら!」

「そやそやw手伝うてくれたらちゃんとちらし寿司平次の分もお母ちゃんに作ってもろたるから♪」

ニコッと笑うと慣れた手つきで雛人形を飾っていく

「…」

そんな楽しそうな和葉を見ること数秒…

「なにじろじろ見てるんよ…//」

「ぇ、いや…楽しそうやな思て…//」

「そらそうやろw 今日はひな祭りなんやで平次w?」

ニコニコと平次に笑う

「…ぁ、そうですか…」

平次には解らない様で三段目五人囃子を適当に並べていく…

「もぉ平次!雛人形の並べ方知らへんの?毎年やってるくせに!」

なんかバカにされた気分…

ムッとして平次は和葉を見る…

「知っとるわい!!左から…太鼓のコイツ、大鼓、小鼓、笛…謡でこうやろ?」

「なんやちゃんと知っとるやん♪」

「毎年毎年うるさいアホに言われとるからなー」

嫌味っぽく言ってやると今度は和葉はムッとする

「やっぱちらし寿司平次の分は作ってあげへん」

ふいっと平次から顔を反らして雛人形たちを飾り終える。

「…今の和葉はコレやな…ほんでオレはコレ。」

ピンと伸びた平次の人差し指が怒り上戸と泣き上戸を指さす……










と、いうのはだいぶ昔の話。

まだまだやんちゃ盛りの2人の小学生時代のこと。

そして今、

「…また平次、アタシのひなあられ食べたやろ?」

ジロリと平次を見る和葉

「またコイツみたいな顔しとるで?」

笑って指さすのは三仕丁の怒り上戸

「それはいっつも平次のせいやろ!」

「ええやんか減るもんやないし(笑)」

楽しそうにまた和葉のひなあられをぱくっと口にする笑い上戸の平次は言う

「減っとるし…(笑)」

平次の笑いにつられて和葉も思わず笑ってしまうと本当の笑いになってしまう…

「あ、そや!アタシの作ったちらし寿司食べてくやろ平次w?」

いつからか自分で作るようになったちらし寿司。

もちろんそれは美味しそうに食べてくれる平次のために。

「おう…//」



〜END〜



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