図書室
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これは小学生の頃の話。

小学6年生、図書委員。

和葉と平次。

別になりたくてなったわけではない…

だからといってやりたくなくてやっているわけでもない…

1週間に一度、ある曜日の昼休みになると決まって隣には平次。

いつも一緒にいてもそれでも一緒にいたい。

そんな思いから一緒になった図書委員。

平次は最初から図書委員を狙っていたようだが。





―昼休み―


委員の仕事は本の貸出しと返却の受付、本棚の整理。

…なのだが…

受付で分厚い本を読む平次…

仕事はほとんど…いや、全てを和葉に任せて本の中の登場人物と推理勝負の真っ最中。

「もー平次!!平次も受付手伝うてよ!」

「おぅ…」

「…ムっ……アホ平次」

「おぅ…」

「…」

平次の本に夢中な様子に呆れ顔で和葉はため息…

その後一度も委員の仕事をすることなく昼休みは終わった。





そしてその放課後、今日はこの小学生にとっては楽しい時間までも委員の仕事が及んだ。

新しい本を指定の場所へ並べ、休み時間やらでバラバラになった本の整理整頓。

図書委員6年生が本日はその係。

もちろん和葉も、平次も…

「悪い和葉 オレ、今日忙しいから委員の仕事任したで!」

「えっ平次!!またサボるん!」

「サボりちゃう新しい推理小説が出とるんやw」

楽しそうにに和葉に手を振ると平次は図書室ではなく本屋へと直行するのであった…

「…」


******


本来なら6人いるはずの図書室…

他クラスの女子一人は学校自体を休んでいた…

そしていわゆるサボりの平次

それで4人が放課後の図書室に集まった

が、

「なんで服部いいひんねん!」

「そやそやアイツサボり過ぎやろ?」

「そんなん言うたかてアタシは平次の監視役ちゃうもん…」

「そやで!別に和葉のせいちゃうやろ!」

女子と男子の2対2のケンカが始まる…

というより男子2人はサボりたいだけ。

「ええから早よ片付けへんと…」

どんっと段ボール箱に入った本を男子の前に下ろしてその蓋を開ける

「…ちょお考えたんやけど、別にオレらでやる必要あらへんて…」

「明日服部に全部やらしたらええて。」

そう言うと男子2人は段ボール箱の蓋を閉じる

まぁ結局はサボりたいだけ。

「ほななw」

「やりたいんやったら自分らで頼むわ」

調子のいい男子共は逃げるようにその場を去る…

「ホンマなんちゅうヤツらや!!」

男子の消えた図書室には女子2人だけ…

新書の入った段ボール箱は5箱ほど…

本来なら一人1箱の計算…

「しゃーないよ…早よ終わらしてまお?」

ニコッと笑うと一つずつ箱の中から本を取り出す…






「…アタシらだけで終わるやろか…」

「うん…さすがに多すぎや…υ」

全て箱から出してみれば予想以上の本の数…

「あーもぉ!!和葉!」

「えっ?」

突然の大声に驚いて和葉は彼女を見る

「服部くん本屋行く言うてたんよね?」

「ぅ、うん…」

「アタシ連れてくるわ!」

「え!?」

「和葉は服部くんに甘いで!アタシが力ずくて連れてきたる!」

ぐっと握りこぶしを作ると図書室の入り口の戸を勢いよく開けて外へと飛び出す…



―ドンッ―



「…いったぁ……」

「アホ!オレの方が痛いわ!!」

彼女とぶつかった拍子に落とした本屋の袋を拾う少年…

「平次!?」

びっくりして駆け寄る和葉は言う

「おう…」

「帰ったんちゃうの?」

「いや、目当ての小説も買えたし帰ろうとしたんやけどな…そん帰り道で委員の仕事サボった2人組見つけて…やな…ってなんや?」

ジトッと和葉以上の目で平次を見るのは彼女…

「サボった2人組ってそれはアンタも数に入るやろ!」

「いや、オレはこうして…υ」

迫りくる彼女に押され気味の平次に和葉は聞く

「平次、何の小説買うてきたん?」

すっと平次から買ったばかりの小説を手にとる

「それな、3年ぶりの新作なんやでw」

「へぇー」

「コラ和葉ぁ?」

楽しそうに会話をする和葉を今度はジト見…

「サボった服部くんに文句の一つ言うてやらな!」

「えっ…あ、そやそや!平次のせいで他の子ぉも帰ってしもてアタシらだけでこれ全部片付けなアカンくなったんやで!!」

「なっ…せやからこうしてわざわざ戻って来たったんやろ!」

「何よその偉そうな言い方!」

「オレが手伝うたる言うてんのやで!」

「委員の仕事なんやからやって当たり前やろアホ!!」

「アホとは何や!アホ!!」

やいやい言い合う声はしっかりとしまった窓をも通り越して外にまで響く…

「あーもう!!!2人ともアホや!!何をケンカしてんの和葉!」

「…せやかて平次が…」

「あん?先に怒鳴ったんそっちやろが!」

「あーもぉええから早よ服部くん仕事して!」

止まりそうにない2人を鎮めると言う

「…なんや?自分はやらへん気ぃか?」

嫌な予感といものは当たるものだ

「当たり前やろ。この前もサボったんやからw」

完全に勝ちを誇った彼女に舌打ちをするとしぶしぶ本棚へと向かう平次…





受付の椅子に和葉ね彼女は座って平次の買ってきた小説を2人して読んでいる…

というよりはパラパラと見ている…

「おーい和葉ぁこの本はどこや?」

本の正しい置き場を未だ把握していない平次は聞く

「せやからそれはあっちやって。」

「どこやねん?」

受付の席からその場所を指さすがそれは伝わらない

「せやからもう!こっちや!」

見かねた和葉は平次の元へと行き一緒に本棚の整理を始めた

「これは?」

「ここ。」

「ほんならこれは?」

「んーと…ここやねw」

平次の渡す本を和葉が本棚へ…



「やっぱり服部くんに甘いで和葉。」



一人受付から2人の様子を眺める彼女は微笑みながらつぶやく

「平次、さっき買うた小説今度読ましてな?」

「ん?ああええで。」

「それからもうサボったらアカンよ?」

「…まぁ気が向いたらやな。」

ははは…と乾いた笑いで誤魔化すと平次は言う

「もぉ…次はホンマに一人でやってもらうで?」

「そんなん言うて手伝うてくれるやろ?」

「て、手伝わへんもん//」

ぷいっとそっぽを向く和葉にニッと嬉しそうに平次は笑う



〜END〜



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