土方本

■□伝言4・市村□■
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*市村鉄之助*


[思い]


土方隊長…


昨日、貴方の死の知らせが届きました。

分かっていたはずなのに


目の前が真っ白になりました。


言葉も出なくて

泣くことさえ出来なくて

全身の力が抜けました。



どうして__



あれから何日経ちました?

貴方は笑って、僕を送り出してくれて…


僕の頭をなでてくれたあの手は

あんなに温かかったじゃないですか。


それなのに



もうこの世にはおられないなんて__



今になって、涙が後から後から流れるんです


「こんなところで立ち止まるな」って

背中を押してはくださらないんですか

「男がそう簡単に泣くな」って

もう叱ってくださらないんですか



五稜郭は降伏するそうですね。

いつだったか

「新撰組」は悪名を着せられ世の中から蔑まされていくだろう、と

貴方は僕におっしゃいました。


でも


僕は知っています。

貴方がどんな人であったか

貴方がどんなに「新撰組」を思っていたか__


世の中がなんと言おうとも

どんなに蔑まされようとも



僕が知っています



だから

土方隊長は僕を選んだんだって…

そう思っても…いいですよね

そうでなくちゃ

こんな辛い思いをしなくちゃならないこの仕事を引き受けたことを

後悔してしまいます。



僕は貴方の代わりに生きて

必ず。

必ず届けますから。


今は「遺品」となってしまったこれらを

貴方を待つ人のもとへ__


そして伝えます


僕の見てきた新撰組を。

この目で見た「本当」の土方隊長を。



そして

貴方のように生きてみせます。

隊長の「胸を張って生きろ」という言葉を忘れずに

自らの正義に背かないように…生きてみせます。



だから



ずっと見ていてくださいますか

あのときのように


五稜郭を出て行く僕を

あの小窓から見守っていてくださったときのように_


fin.

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